●原作
ガルシア・ロルカ
●翻訳・構成・脚色
田尻 陽一
●構成・演出・舞台美術
神宮寺 啓
名古屋公演: 愛知県芸術劇場小ホール
4月28日(木) 19:30
4月29日(金) 15:00
4月30日(土) 15:00 終演後アフタートーク
5月 1日(日) 15:00 終演後アフタートーク
福井公演: 「響のホール」福井まちなか文化施設
5月13日(金) 19:00
● 作品について
1929年7月にニューヨークに渡ったガルシア・ロルカは『観客』の着想を得て、翌年キューバのホテルで書き始め、手書きの第1稿は、スペインに帰国してから2か月後の1930年8月22日に完成しました。推敲を重ね、友人宅で完成稿を朗読したようです。マルティネス・ナダル(1903-2001)によれば、完成稿は3幕構成で各幕が2場に別れていたと証言しています。つまり全部で6場あったことになります。この朗読原稿は当時の恋人ロドリーゲス・ラプン(1912~1937)に清書するよう手渡されたのですが、ラプンが内戦時に亡くなると同時に完成稿も行方不明となりました。
ナダルは1936年7月、ガルシア・ロルカから手書きの第1稿を手渡されたと、1976年、ファクシミリ版として出版しました。このファクシミリ版には第4場がありません。手書きの、しかも加筆修正が入った手稿は読みにくく、スペルミスも目立ちます。したがって、この戯曲の校定本は3種類あり、翻訳に当たっては3つの校定本を見ながら、手稿本にもあたりました。
ガルシア・ロルカはレアリズム恋愛劇を書くような作家ではありません。彼自身、「わたしは詩的なゲームをあえてやった」と言っています。思う存分、作者のコトバに酔ってください。愛とは偶然なのか必然なのか……、答えはありません。
● あらすじ
エンリーケとゴンサーロは男同士の関係です。ゴンサーロは一途にエンリーケを愛しています。しかし、世間体を気にするエンリーケは社会から二人の関係を隠そうとします。時代は1920年代のスペインですから、赤裸々に男同士の「愛の言葉」は書けません。そこでガルシア・ロルカはこの作品を『ロミオとジュリエット』の世界にしました。
ご存じのようにシェイクスピアの時代には女優はおらず、少年俳優たちが演じました。二人の少年俳優が甘い男女の恋物語を舞台で演じる。舞台を見ている観客は誰も男同士の恋愛とは思わない。役者の肉体と戯曲のセリフの関係。ここが演劇の面白いところです。 一方、われわれは、自我を曝け出さないよう、常に社会に対して仮面をかぶっています。自我を曝け出すと悲劇が生じます。ひたむきな愛も同じです。純真無垢な愛に生きるゴンサーロの殉教。
「ガルシア・ロルカが語った上演不能な演劇」
「ロルカなくしてクセックなし」「ロルカを追い求めて35年」と、自他共に「ロルカ命」と認めるクセックACTが、ガルシア・ロルカ究極の作品『観客』の上演です。
ここだけの話、翻訳の田尻陽一と演出の神宮寺啓は余りにも難解な作品を前にして茫然自失、しっかり悩んだのです。でも、その甲斐あって(無いと困りますが……)不屈の闘志を持つ二人?は勇気を鼓舞して『観客』にチャレンジと相成りました。
演出の神宮寺は「この作品に時間軸は無く、ロルカの頭の中(思考)を表したもの。ロルカの妄想(愛と死と演劇)を凝縮していけば核心へ繋げる。そして、簡単なプロットを明確にして舞台に上げる。」と言い放つ。この自信ならいけるのでは・・・!?
一方、翻訳の田尻は、「人間として社会的につながるには、常に他者から見られているはずの自分を演じなければいけない。生きること自体が演劇といえる。他者から見られている自分と他人には見せられない自己との差異を隠すために人は仮面をかぶ『観客』はガルシア・ロルカの演劇論でもある」と述べています。この二人の思いが交錯するところ、それがこの『観客』なのです、としておきます。
そこで4月30日(土曜)の公演終了後(4時半ごろから約30分を予定)、田尻と神宮寺が『ロルカの世界』と題してアフタートークを行ないます。どんな流れになるのか初の試みとなる“クセックのデザート”をお試しあれ!!
超ド級の難関に挑む役者陣は、名古屋を代表する女優 火田詮子を初め女優7人と、迫力が嵐を呼ぶ永野昌也ら男優7人の総勢14人です。
どうぞ、劇団クセックACT究極の挑戦をご覧下さい。上演時間は、分からないな〜と言えども集中出来る“1時間30分”を予定しています。
「分からないけど面白い」これこそ芸術文化、最大にして最高の“褒め言葉”です。今回はその領域に挑みます。ぜひお越し下さいますよう、お待ち申し上げております
- キャスト -
榊原 忠美
永澤 こうじ
永野 昌也
玉川 裕士
山田 吉輝
山形 龍平
久保川 真守
火田 詮子
平井 智子
斉藤 弥生
大西 おに
今枝 千恵子
柴田 真佑
川瀬 結貴
- 舞台監督 -
鈴木 寬史
- 音響 -
田中 徹
- 照明 -
則武 鶴代
- 衣装 -
まさきよしこ
いしぐろひろこ
- 舞台写真 -
和玖 瞬
- 制作協力 -
橋本 優美
武田 仁美
- 制作 -
劇団クセックACT
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