第一話『エウフェミア』・第二話『寝取られて大満足』
劇団クセックACT結成30周年記念
作/ ジョバンニ・ボッカチオ 翻訳・脚色/ 田尻 陽一 構成・演出・舞台美術/ 神宮寺 啓
■ あらすじ
『エウフェミア』
カラブリアの地にレオナルドとエウフェミアという兄妹がいたが、兄のレオナルドは異国の地で出世しようと思いたち、妹のエウフェミアに別れを告げる。バリアーノという殿様のお屋敷に奉公し、またたくうちに主だった家臣の一人に出世するが、仲間の嫉妬から窮地に陥る。しかし、絶体絶命という時に、エウフェミアの才知により…
『寝取られて大満足』
ボローニャにエガノという裕福な商人がいた。急な商用で夜中に出かけることになったが、留守を忠実な番頭アニキーノに任せて出発した。残された奥さんのベアトリスは、一人寝のわびしさを紛らわすため、アニキーノとチェスをすることになった。アニキーノは自分の友人の話にかこつけてベアトリスに恋を告白する。ちょうどそのとき、主人エガノが…
■ 作家紹介 ■
ロペ・デ・ルエダ(?~1565)はスペイン演劇史において最初の職業演劇人といわれています。1542年には自分の一座を持っていたようです。座長であり、役者であり、台本作者でした。彼が残した4つのコメディアはいずれもイタリアのコンメディア・デラルテの翻案で、たぶん、スペインを巡業していたイタリア人の一座に加わり、芝居の作り方や芸を習ったのだろうと思われます。
アレハンドロ・カソーナ(1903~65)はガルシア・ロルカと同時代の劇作家ですが、スペイン内戦が始まった年にメキシコに逃れ、キューバ、プエルトリコ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、チリを経て1939年からアルゼンチンのブエノスアイレスを演劇活動の地と定め、数多くの名作を書きました。1962年にスペインに戻り、アルゼンチンで書いた旧作を次々と上演して一大ブームを巻き起こしました。1965年7月、持病であった心臓の手術を受けましたが、2ヶ月後に亡くなりました。
■ 作品の経緯 ■
ロペ・デ・ルエダの『エウフェミア』は『デカメロン』の2日目9話が題材となっています。現存しないコンメディア・デラルテの台本を翻案したのであろうと思われます。
アレハンドロ・カソーナの『寝取られて大満足』は『デカメロン』7日目第2話から取っています。
いずれも女性の才知がテーマですが、『エウフェミア』は窮地に陥った兄を救い、『寝取られて大満足』はまんまと亭主の裏をかくことに成功しています。
■ 公演案内 ■
昨年、劇団クセックACTは30周年を迎えました。その30周年記念に一昨年は『フエンテ・オベフーナ』昨年は『五年経ったら』を上演しました。
さて、今年は30周年記念に相応しい作品として何を!?…という事になり、そこで飛び出したのが1993年のクセックの笑劇『デカメロン』(1351年完成)の再演です。
といっても、再演では余りにもクセックは能がなさ過ぎる。そこで翻訳の田尻が考えたのです。スペインに繋がる何かを!?出てきた答えが『デカメロン』を台本に仕上げたスペイン作家がいるではないか。
『デカメロン』のタイトルはギリシャ語で「10日」の意味を持ち、4世紀に書かれた『ヘクサメロン』という作品にならってジョバンニ・ボッカチオ(1313~75)が『デカメロン(十日物語)』という造語を作り出したのです。
ボッカチオが書いた作品は、十日間に7人の貴婦人と3人の貴公子が百の物語を語り継ぐという物語です。その物語をスペインの時代の異なる作家、ロペ・デ・ルエダとアレハンドロ・カソーナがそれぞれ『エウフェミア』と『寝取られて大満足』の脚本を起こしたのです。ルエダは二日目の9話を、そしてカソーナは七日目の2話を題材にしています。
翻訳・脚色の田尻陽一は「二つの話に登場する女性は、かたや、英知を駆使し兄を救う。かたや、女性のしたたかさとずる賢さを使って大団円に持っていく。いわば女性の二面性をもっている。クセックの役者たちなら、こういった女性の強さ、逞しさを大きな笑いの中で表現できるはずだ」と言っています。
一方、演出の神宮寺啓は「女性のしたたかさをグロテスクな側面として捉えると、真行寺が二つの作品において中心の女性を演じることで、美と醜なるものが同時に表出される。そこに新たな女性の物語が見えてくると共に、人間の歪んだ姿が垣間見えればと思う」と語っています。
キャストは、『エウフェミア』の主人公エウフェミアの英知と才覚。『寝取られて大満足』のベアトリスのしたたかさと如才なさを、クセック出演3作目の真行寺君枝。2作品で要となる役を演じる才能豊かな俳優 永野昌也。エウフェミアの兄を、昨年の『五年経ったら』の青年役で高く評価を受けた樋口大介。他にお馴染みの実力派 火田詮子、可児良友らが出演します。
どうぞ、30周年企画を存分にお味わいください。お待ち申しております。
2011年3月 劇団クセックACT制作部
公演日程
■ 名古屋公演 ■
4月28日(木) 19:30~ 4月29日(金) 15:00~ 4月30日(土) 15:00~ 5月1日(日) 15:00~
【会場】 愛知県芸術劇場小ホール 愛知県芸術文化センターB1 名古屋市東区東桜1-13-2 Tel.052-971-5511
【料金】 前売/ 一般・学生 3000円 ・ 中高生 2000円 当日/ 一般・学生 3500円 ・ 中高生 2000円
■ 福井公演 ■
5月13日(金) 19:00~
【会場】 「響のホール」福井まちなか文化施設 福井市中央1-4-13 Tel.0776-30-6677
【料金】 前売/ 3000円 ・ 当日/ 3500円
■ 大阪公演 ■
5月21日(土) 16:00~
【会場】 関西外国語大学 谷本記念講堂 関西外国語大学中宮キャンパス 枚方市中宮東之町16-1
【料金】 資料代/ 100円
キャスト
榊原 忠美 | 可児 良友 | 永野 昌也 | 樋口 大介 火田 詮子 | 大西 おに | 柴田 真佑 | 真行寺 君枝
舞台監督
鈴木 寛史
照明
近藤 忠光 | 吉戸 俊祐
音響
田中 徹
舞台衣装
平野 美喜 | ツボイヒロミ | 荻野 智美
舞台写真
和玖 瞬
制作
橋本 優美 | 武田 仁美
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