黒い音色を持つものは、何にだってドゥエンデがある。ドゥエンデは体の中から、足の裏から登ってくるのだ。
ガルシア・ロルカ コラージュ作品 田尻陽一 翻訳・脚色 神宮寺 啓 構成・演出・舞台美術
■ 作品について ■
フラメンコの世界にドゥエンデというコトバがある。「憑き物」という日本語がもっとも適切かも知れない。しかし、どうしたらドゥエンデが湧いてくるのか。ガルシア・ロルカは自分のインスピレーションをドゥエンデと呼んでいる。だが、ロルカの作品には、ほとばしり出る詩的言語と、社会的に押さえ込まなければならない欲望との葛藤がある。 今回、作品として取り上げた『カタツムリ』は、相反する二重構造を同時に舞台化した実験的な戯曲で、いまだ世界で上演されてはいない。 『血の婚礼』では、新郎を捨て、思いを断ち切れない恋人と逃亡を図る新婦が登場する。待ち構えているのは「死」である。終幕では、息子を殺された新郎の母親と恋人を殺された新婦が対峙する。この二人の女によって紡ぎだされる二人の男の姿が美しい。 そして、すでに恋人が他の女性と結婚したことは知っているのに、恋人が戻ってくる女を一生かけて演じ続ける『ドニャ・ロシータ』。彼女のなかには虚と実が生きている。今回クセックは、こうした構成で独自のロルカ像を炙り出す。
■ 作家紹介 ■
フェデリコ・ガルシア・ロルカはグラナダの近郊フエンテバケロス で、1898年、裕福な大地主の長男として生まれた。民衆的な詩人、劇作家といわれているが、ダリとの交友で知られているように、20歳代はシュールレアリズムの作品を書いている。彼の抑圧された性欲は、現実を超越したシュールな空間でしか、描くことができなかったのだろう。 1936年7月18日、右翼の軍人たちによるクーデターが勃発したとき、8月16日にグラナダで逮捕され、8月19日、ビスナルで銃殺された。38歳、若すぎる生涯だった。
■ 公演スケジュール ■
○「名古屋公演」愛知県芸術劇場小ホール 5月1日火曜日 午後7時30分 2日水曜日 午後7時30分 3日木曜日 午後3時 4日金曜日 午後3時(各開場は開演30分前)
これで、どうだ!!劇団が描く渾身のロルカ像『ロルカ〜閉ざされし楽園〜』
昨年は、30周年企画第三弾となる『デカメロン』を公演。お陰様で好評を博し、 無事終了しました。ありがとうございました。
今年は、さらなる飛躍を求めて「新たなる一歩」を大きく踏み出します。
その「新たなる一歩」は、劇団としては最も公演本数の多いスペインの詩人、劇作家のガルシア・ロルカにスポットを当て、ロルカの作品に、これまでとは違った形で取り組み“ロルカの世界観”を表現してみようと決めました。
ロルカが、生前行なった講演を軸に『ドニャ・ロシータ』『血の婚礼』の戯曲と詩を構成(コラージュ作品)して、「これぞ!!クセックのロルカ」をお見せします。
翻訳・脚色の田尻陽一は「数年前に『血の婚礼』の事件があった場所を訪れた。そこで、関係者からクセックの『血の婚礼』を観たいといわれた。今回、その言葉が蘇り、ロルカ像を描く一つとして、是非『血の婚礼』を加えたいと思った。ストーリーもギリギリの展開にして、ロルカが意味する“ドゥエンデ”を立ち上らせたいという思いだ。」と言っています。
一方、演出の神宮寺 啓は「ロルカがインスピレーションした生の問題、死の問題を表面化した舞台を構築したい。私自身にとって、ロルカを語るにはこれしかない。ロルカの魂を、時間を超えて生きようとする役者たちの身体表現で表したい。」と、意気込みを語ります。
キャストは、名古屋を中心に活躍する火田詮子を始め、活躍が目覚ましい永野昌也、大西おに、樋口大介、他にコロスとして滝沢瑣吉、柴田真佑、鈴村一也、渡辺俊介も参加。さらに初参加となる俳優館の後藤好子も、これまでとは違った演技を目指します。勿論、お馴染みのメンバー 平井智子、榊原忠美も“クセック盛り上がらせ隊!?”として出演します。
名古屋公演は5月1日〜4日、福井公演は11日、大阪公演は19日となっています。
どうぞ、劇団の真髄!!『ロルカ〜閉ざされし楽園〜』を存分にお味わいください。 心よりお待ち申し上げております。
2012年 春 劇団クセックACT制作部
キャスト
榊原忠美、永野昌也、滝沢瑣吉、樋口大介、鈴村一也、渡辺俊介 火田詮子、後藤好子、平井智子、大西おに、柴田真佑、
スタッフ
舞台監督: 鈴木寛史 照明 : 近藤忠光 、吉戸俊祐 音響 : 田中徹 衣装 :荻野智美、ツボイヒロミ 舞台写真:和玖瞬 宣伝美術:小島製作所 制作:橋本優美、山田吉輝
○後援 スペイン大使館、愛知県、名古屋市、愛知県教育委員会、 名古屋市教育委員会、名古屋スペイン協会、
○協力 ��株)キョーイク 名古屋車椅子センター 鬼頭印刷(株) PAPでらしね パルテール
○料金 当日 3500円 前売 3000円 中高生(当日・前売共 2000円
○「福井公演」響のホール ��月11日金曜日 午後7時(開場6時30分)
○料金 当日 3500円 前売 3000円
○後援 スペイン大使館 福井新聞社 福井テレビ FM福井 月刊ウララ
○協力 勝楽寺 福井別院『本瑞寺』
○「大阪公演」関西外国語大学 「谷本記念講堂」 ��月19日土曜日 午後4時(開場 午後3時30分)
○料金 資料代 100円
○後援 スペイン大使館
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